不動産営業のトークに騙されない

不動産仲介業の営業は、その道の「プロ」です。日々さまざまな顧客を、さまざまな物件と巡りあわせ、契約を勝ち取っているのです。ですから、こちらよりも物件に対する知識も多ければ、場数も経験しているものです。

賃貸住宅を直接大家から借り受けというケースは稀です。知り合いやそのツテがなければ、ほぼ不可能でしょう。住居の賃貸契約は煩雑な手続きをはらんでいて、大家個人がそれを遂行するのは手間だからです。ですから仲介料というマージンを不動産業者に支払ってでも、入居者獲得や、或いはその物件の「管理」まで、委託していることが多いのです。そのような物件に入居するためには、どうしてもその物件を委託されている業者にコンタクトを取る必要があるのです。

営業はひとつの職種です。同様の仕事をしている人であれば、それがどれだけ大変で、またやり方ひとつ、話し方ひとつで結果、成果が変わることかご存知なのではないでしょうか。その企業が収益をあげるための最前線、その企業が企業として存続するための最前線として、営業が存在し、日々売り上げを追い求めています。営業は得てして個人プレーです。人によって月の売り上げが違うものです。また、そのことによって「インセンティブ」などの「報奨金」を付ける企業もあります。それによって営業マンのモチベーションを高め、営業活動を促進するためです。それほど「人」に依った業務が営業なのです。

ですから、営業マンは実は「良い事」ばかり言っているということもあるのです。賃貸物件を多く扱う業者も、営業部門と物件の管理部門は別であることが多いものです。別の会社になっていることすらあります。営業専門として分社化されているのであれば、その会社はずっと売り上げを追い求める必要があります。日々営業し続け、日々契約を獲得しなければいけないのです。もちろん、それは「新規」です。新規で入居者を獲得する必要があるのです。営業の仕事をしている人であれば、それがどれだけ過酷なことかもわかるというものです。

ですから、上手な賃貸物件の契約の仕方というのは、「そのような営業のことを理解する」ということか必要なのです。それはただ「トークに騙されないぞ」と構えるだけではありません。相手の事情をある程度汲み取って、「相手の仕事」のことを理解してあげことが必要なのです。実は、こちらが構えれば構えるほど、営業のトークは巧みになります。こちらが腹を割って、「ぶっちゃけた話しを」となれば、相手も「実際のところは・・・・」という話しをしてくれるかもしれません。手続き上、人と接する必要が必ずあるのですから、相手に対してこちらも「営業」をしかければいいのです。

そのためにはまず、担当営業と仲良くなることが先決です。それはダラダラと世間話をすればいいということではありません。相手がこちらのニーズを探っているように、こちらも相手のニーズを探るのです。相手が早く決めたがっているなと感じたら、「なるべく早く決めますから」と嘘でも言ってあげればいいのです。良くも悪くも相手は人間です。そして、こちらも人間です。機械と機械のやりとりではないのですから、そのような取り組みを少しは必要なのではないでしょうか。