家を買わずに「賃貸」で暮らす選択肢

この社会で生きていく限り、私たちは絶対にどこかで暮らさなければいけません。定住場所を持たず、各地を転々と出来る職業であればこの限りではありませんが、そうではない場合はどこかで暮らす必要があるのです。

一日のうちのどれほどを仕事にあてているのか、それは人にもよるでしょう。なかなか家に帰ることが出来ない人、出張が多い人、さまざまいると思います。ですが、いつでも、どこにいても、帰るべき「自宅」のことはすぐに思い返されるのが私たちです。一日必死で働いて、疲れて帰るべき場所、一晩休んで、また一日を頑張るために出発する場所、私たちには自分の「住処」が必要なのです。

人によっては「いつかはマイホームを」と考えている人もいるのではないでしょうか。自分と家族が安らげる場所、くつろげる場所、子どもを育てる場所としての「家」を夢見ている人は沢山いることと思います。その子どもにとってはあなたが夢想している家が「実家」です。 そのようなことを考えた際に、自分自身が育った「家」を思い返す人もいるのではないでしょうか。育った環境は人によって違うのです。地方出身の人は戸建住宅が自分の実家であったり、都心の方で育った人はマンションがそれであったりするのではないでしょうか。

育ち、実家をあとにしてからも、自分が育った環境というものは忘れられないものです。いつかは自分も自分の両親のように家庭を持ち、自分の家を建てて暮らすんだと考えるかもしれません。地方から都心に出た人は、地方と都会のギャップ、戸建て住宅を建てるための予算規模に目が回っているかもしれません。

ですが、「自分で購入」しなくとも生きていくことはできるのです。賃貸と購入の違いは、実はそんなにありません。若いうちは、少なくとも関係ありません。働いているうちはどうせ「ローン」を支払うのです。それは住宅に充てることのできる予算としては変わりがなく、賃料なのか返済なのかの差です。働き続けなければローンは支払えないのです。そして、気軽に転居もできません。もちろん、購入の場合は完済したあとは税金や光熱費しか費用はかかりませんが、それは何十年も先の話しです。

自分の老後がどうなっているのか、今のうちから想像することは困難です。それは「時代が変わる」からです。特に顕著なのは「定年の引上げ」です。人はより長い間働くことができるようになるのです。それは私たちにとって幸せなのか、不幸なことなのか、誰も知りません。ただ、「子ども」が少なくなってきているのは間違いがなく、私たち自身の寿命が延びているのは確かです。高齢者になった誰もが持ち家で暮らしているとは限りません。ただ、現在の社会情勢では「自分の子どもに支えてもらおう」と考えるのもナンセンスかもしれません。そしてローンの金利は変動します。さらに、将来今と同じだけの収入があるかどうかもわからないのです。

どのような仕事をしていれば間違いなく生きていけるのか、その答えは誰も知りません。自分は大丈夫という保証はどこにもありません。そんな世の中だから、「賃貸」で暮らし続けるという選択肢もあるのです。いつでも転居でき、収入が少なくなれば安い場所へ移るということができるのです。

生き方に幅をもたせるための住まいのカタチ、それが「賃貸」であるといえるかもしれません。