自分が譲れない条件は決めておく

人には誰とも通じ合えない「こだわり」があるものです。それは自分だけにしかわからない、自分の「基準」です。そして、それが「絶対にゆずれない」ということであれば、曲げる必要はまったくないのです。

どのようなこだわりであれ、それが満たされなければとてつもないストレスになってしまうということがあるものです。
賃貸物件で特に多い「ユニットバス」がどうしても嫌だという人、ガス給湯ではなく「電気」であるのがどうしても嫌だという人、キッチンには自分で選んだ「コンロ」を置きたいという人など、その「こだわり」は、だれも理解できないものかもしれません。ただ、暮らす本人が「絶対に譲れない」ということであれば、それは我慢する必要はありません。周囲からみれば「どうでもいい」と見えることでも、本人にとってはこれからの暮らしを左右する重大なことなのです。

そのような重大なことをしっかりと不動産仲介業者の担当営業に伝えることが大切です。部屋探しの基本は条件の合う物件を「内見」するということです。内見は物件そのものを希望者に見せて、「ここに住みたい」と思わせることです。ですから、内見まで行けば営業は全力でその物件を薦めてくることは間違いありません。ですから、まずは設備的な要望は必ず最初に伝えておくことが大切です。それはもう、しつこいくらいに強調した方がいいでしょう。そのことによってこちら側のその要素に対する「熱」も伝わり、「これは本当に外せないな」という具合に担当営業も理解するものです。

大切なのは「譲らない」ということと、それをしっかりと「伝える」ということです。人によっては営業の「押し」に負けてしまいがちな人もいるでしょう。そのような人を相手にすれば、担当営業は「しめた」と考えるわけです。予算に見合った物件であれば、お客さんを「その気」にさせることができるのが「営業」のスキルなわけですから、本当に自分が後悔しないためには、自分が絶対にこだわりたい部分は妥協してはいけません。

逆にそのような熱感がなければ、あなたの部屋を探している担当営業も考えづらいものです。「この人は本当にそれを望んでいる」ということが伝わってこなければ、半信半疑のまま、その物件を探すということをはじめるでしょう。営業は仕事ですが、だからといって条件を伝えるだけ伝えて、あとはお任せというわけにはいきません。本当に自分が希望しているものを探しているのか、目線は合っているのか、それを確かめることが大切です。自分にしか理解できないこだわりを、どのように営業と共有するのか、それが良い物件探しの第一歩です。

伝えるのが恥ずかしいであるとか、うまく伝えられないというようなことでは「損」なのです。自分の希望は希望通りに伝えるということ、自分の希望をしっかりと相手に理解してもらうということ、不動産仲介業者の担当営業は、自分の「パートナー」であるということを、こちらもしっかりと頭に入れて臨む必要があるのです。相手も人間、こちらも人間です。たとえ物件探しの際にしか関わらない人でも、最良の物件という共通の目的があるのですから、その目的を通じて分かり合えることも多々あるはずなのです。