設備維持、環境改善などは大家さんの仕事

その物件が賃貸であれば、それは「自分のもの」ではありません。大家さんの物件です。ですから、例えば廊下の蛍光灯が切れているとき、そして何か器物が破損した時は、それを修復するのは大家さんの仕事です。

これが購入した場合は、実はローンとは別にそれらのための経費が発生します。管理費や共益費といった費用が、月々の支払に加算されるのです。それらは管理組合や協同組合に徴収され、その費用でその物件の共有スペースなどをメンテナンスしているわけです。賃貸の場合は、物件によっては賃料とは別にそれらの費用が発生する場合もあります。ただ、ない場合も多いでしょう。それは契約時にあらかじめ調べておくこともできるので、「月々の支出」として計算しておくこと可能です。

賃貸の場合、それらの項目の支出がなかったとしても、その物件のメンテナンスは自分たちでは行いません。共有部分はもちろん、部屋に備え付けの住器に至るまで、実は「しっかりと動くこと」を前提として借りていたりするものです。入居時はエアコンがついていて、それを前提として入居したという場合には、そのエアコンは常に正しく稼働している必要があります。もちろん、自分の部屋のエアコンなのであれば、そこに係る電気代は事故負担ですが、エアコンが動くということ自体はその部屋が満たさなければいけない条件です。もともとの契約が「エアコン無し。自己設置」とでもなっていなければ、よほどのことがなければもともと備え付けられていたエアコンが故障したとしても直してもらえるでしょう。

また、共用部分はなおさらです。マンションやアパートの場合、廊下やロビーなどが存在しているはずです。それらは住人全員が等しく使う部分ですから、正常に保たれている必要があるのです。電球や蛍光灯はいつか切れてしまう消耗品です。ですから、それらは定期的に交換する必要があります。それらを交換するのは管理会社や大家の仕事です。「切れているから不便だ。自分で替えよう」というのは、少し損をしてしまうのです。また、その物件の「セキュリティ」を保つのも大家の仕事です。その物件に監視カメラをつけたり、オートロックなどの防犯設備を整えたりするのも、大家がやらなくてはいけないことなのです。

それらのメンテナンスはその物件の「メリット」にもなり得る重要な項目です。それがしっかりとしているから、入居者が集まるということもあるでしょう。おざなりであったならば入居者は全然集まらないかもしれません。実際には、それらのメンテナンス部分は暮らしてみないわからない部分ではあります。ただ、実際に物件を検討していて、内見する際などには「細かい部分が行き届いているかどうか」ということなどをチェックすることで、その物件は細かく管理されているのかどうかということがわかるでしょう。新築でない限りは、誰かが暮らしている以上傷んでくるものです。そのような箇所がしっかりとメンテナンスされているかどうか、そのような部分はどのような頻度で清掃に入るのかを質問してみてもいいかもしれません。大家さんや管理会社がどれだけしっかりと責務をまっとうしているか、それはその物件のひとつの価値になることでもあるのです。