「消毒済み」に騙されない

実際に物件を内見してみると、さまざまな「器物」が目に入ります。その物件がどれだけ「空き」があったものなのかはわかりませんが、それらの物件を検討するためにさまざまな器物を確認することは必要でしょう。

特に人が直接触れ合う設備などには注意したいものです。トイレやバスルームなどの水回りは、新築で誰も住んでいない場合を除けば「誰かが使ったもの」ということになります。誰かが使った水回りを、これから自分も使うのです。内見している物件は、一応原状回復がなされ、水回りなどは清潔になっているように見えます。ですが、それに騙されてはいけないということです。

人か暮らす住居特有の害虫がいます。それらは部屋を消毒するくらいでは消えることはない、しつこい害虫です。それらの害虫がもしかするとまだいるかもしれません。物件を内見する際、注意深く確認すればわかると思うのですが、不動産仲介業者の担当営業がまず中をのぞきます。それはそれらの害虫がそこにいないかどうかを確認するためでもあり、もしいたとしても、その「のぞく」という行為でその害虫を追い払っているのです。

そのようなことに気が付かず、「キレイな部屋」と感じたり、ここは清潔そうだと感じたりしているのが私たちなのです。完全に害虫をシャットアウトできる物件というものはそうありません。あまり古くない物件であってもやたら目にするということもありますし、古く見えても全然それらの害虫がいないという物件もあります。一番のポイントは「水回り」にあったりするのですが、それらの奥深いところは短時間の内見ではわからないのです。

よく水回り部分に「消毒済み」という紙が貼られていることがありますが、それは本当に消毒されているのかどうか、わかりません。実際、部屋が空いた際に一度は消毒をしたのでしょう。ただ、それがいつだったのかということはわかりません。いつから空いていて、いつから無人状態なのか、質問してみてもいいのですが、答えてくれないかもしれません。そのようなことを加味すると、何が清潔で何が不潔か、わからないのです。その物件ではもしかすると内見の直前まで害虫がうろついていたのかもしれないのです。

ただ、そのようなことを「考えすぎる」ということもまた難点です。そのようなことを深く考えすぎると、なかなかそこで暮らすことができなくなってしまうでしょう。物件を確定した際には、改めてその物件の消毒が行われるはずです。それによって間違いなく消毒したての状態にはなるはずですので、あまり気にしない方がいいのかもしれません。ただ、手放しに「消毒済みだ」ということに対して安心してはいけないということです。

誰かが使っていて、一度は消毒されたけれど放置されていた。そして何日かぶりに今内見している。そのような状態が「清潔」といえるのかどうか。ただ害虫が見えないだけではないのかということを少し頭に入れておいた方がいいでしょう。どうしても害虫の類が嫌な人というものはいるものです。そのような人は、一匹の害虫を発見するだけでパニックになってしまうものではないでしょうか。単身で暮らすのであれば、そのようなことは絶対に避けたいものです。